2010年4月12日月曜日

遅延によるミスリード(Misread)

Twitter を利用する際、自動受信の設定にしておくと、自分がFollowしているユーザの呟きが、あたかもリアルタイムに受信されているような感覚になる。

勿論、ここでいうリアルタイムという表現は、正確ではない。電話で話しているような双方向ではないし、実際には、さまざまな遅延が起きている。しかし、表示されたTL上に並ぶ呟きを読む速さと、時間を追ってTL上に追加されていく呟きの速さが拮抗してくると、時間の流れに、自分だけが遅れているような感覚がある。

Twitter では、ほとんど気づかれることのない軽微な遅延から、サーバ障害と認められるような長時間に渡る遅延まで、頻繁に発生している。遅延の原因には、いろいろな問題が考えられる。もっとも頻繁に発生している遅延は、サーバへのアクセス集中によるものだろう。情報を送信する場合も、サーバ側から情報を受信する場合も、サーバ側で処理しきれない処理が発生する遅延は、「おはよう」「こんにちは」「ただいま」「おやすみなさい」の時間帯に頻発するように起きている。


それでも、Twitter では、こうした障害案内を「クジラ」や「宇宙人」の絵を使って行い、そうした遅延の存在を意図的に周知させようとしている。

遅延によるミスリード(Misread)
男「結婚してくれ」
女「………」
男「僕じゃ、駄目なんだね?」
人と人が向き合って行う会話には、システムのようなものは介在しないので、遅延が起こるはずも無い。だから、問いかけに対する返答の遅れは、それ自体が意味を含む返答として解されることが多い。

ところが、Twitter を利用していると、そうした遅延が原因とも思われるミスリードを見かけることがある。
@man 「今晩はカレーライスを食べに行こうよ」
@man 「カレーライスは嫌いか?」
@man 「じゃあ、ハンバーグでも良いから行こうよ」
@man 「ハンバーグは嫌いか?」
@friend 「ふう。やっと繋がったみたい」
@man 「俺のことは嫌いか?」
Twitter のようなシステム上で共有される空間では、遅延が起こることが一般的である。だから、会話を行う利用者両方の意識として、こうした問題に向き合う必要がある。実際、システム側で発生している遅延は、会話を行う当事者いずれの原因とも思えないようなミスリードを引き起こす。

なぜ、こんなことになるのだろう?

例えば、はがきを使って文通するような状況を考えてみる。はがきは、郵便の流通システムを使って、差出しから送り先に届けられる。その途中で、はがきの内容を知ることはできない。この状況では、遅延が発生しても、とにかく、はがきが届くまで待つことでしか解決されない。
至って、のんきだが、これが良い。万一、はがきが遅れて届いても、はがきが送られたことを知らないうちは、送り主を責めようが無い。はがきを送られたことを知っていたら、たいていの場合、郵便局の窓口にいる方が怒られることになる。

次に、アマチュア無線での会話を考えてみる。ひとつの電波帯域を使って会話をする為、一方の会話が終わらないと、片方の会話を始めることはできない。話し手同士が互いに会話の終わりを明示するような表現
「……です。どうぞ。」
に加えて、
「……ですね。確認しました。どうぞ。」
のように、念を押すことまであって、なるほどと思うことが多い。

ところが、無線機を持って移動することで建物の影に隠れたり、バッテリーが切れたり、何かの障害で、電波が途切れると、遅延が発生する。この場合、アマチュア無線の利用者は、途切れた方への呼びかけを行ったり、相手方の信号出力をチェックしたり、といくつかのチェックを行うことで、まず相手方の安否を確認される。


では、Twitter の場合、どうだろう?

まず思うこと。Twitter 利用者が、アマチュア無線の利用者の方のように対応される姿を見たことはない。だからと言って、はがきを待つほどののんきな対応も無い。

ひとつのテーマに沿って対話的に話すことは、ひとつのボールをキャッチボールする関係に似ている。Twitter のサービスの中で遅延が起きると、会話におけるキャッチボールの関係をいきなり崩れてしまうことがある。また、自分が発信した呟きに対して相手からの返答が遅れたりしても、それを遅延として感じると、矢継ぎ早に、次の呟きを発信してしまうことも多い。
そもそも、少しでも内容が入組んだりする事柄について呟く場合、140文字の中で情報発信することは難しいので、キャッチボールとして投げられるはずのボールは、暫く送られてこなくなったと思っていると、急に、バッティングセンターのピンチングマシーンのように矢継ぎ早にストライクゾーンに投げ込まれる自体を招く。
男「結婚してくれ」
女「………」
男「僕じゃ、駄目なんだね?」
女「………………」
男「わかったよ。もう、終わりだね。」
女「お、な、か………イ、タ、ィ、の。」
男「え?」

自分がミスリードしている可能性については、何度も見直すことが大切だと思う。特に、向き合った相手との関係を大事したいと思うのであれば、尚更のことである。

僕は、自分自身が遅延を感じている時には、敢えて独り言を呟くようにしている。
「遅延?」
これだけでも、随分と他の人には判りやすいはずだと思うのだが、どうだろう?

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