2010年4月19日月曜日

パーセプション・モデル

ソーシャル・メディアの到来により、コミュニケーションは、とても複雑な問題を抱えている。しかし、コミュニケーション・デザインを考える立場からすると、基本的な事柄が特に変わっているようには思わない。

では、何が変わったのか?
人のパーセプション(感じ方)が変わった
のだと思う。

では、これまで述べて来たこと
を前提に話を始めよう。

まず、この図(A図と呼ぶ)は、「コミュニケーション・モデル」のもっとも小さな単位を表している。


次に、この図(B図と呼ぶ)は、「ユーザ・モデル」で示したユーザが実際に操作をする際に、どのような切り口からデザインを考えるかを表している。


パーセプション・モデル
そして、この図(C図と呼ぶ)は、「ユーザ・モデル」で示した以下のB図と同じ時間の流れのなかで起こる、ユーザのパーセプション(感じ方)をもっと砕いた形で表している。これを、「パーセプション・モデル」として考えてみる。

B図が左回りに回るように、時間が流れているのに対して、この図では、上から下に移動する流れがあることに注意して欲しい。

第一層
A図の「期待(Expectation)」と「反応(Response)」が書かれている。但し、「反応」は、最上層にある「評価」と、最下層にある「離脱(Break away)」に分かれていることに注意して欲しい。

第二層
ユーザ・ワーク・モデルの流れを表している。
  • 接触(Accessible)
  • 認識(Findable)
  • 好感(Desirable)
  • 入力(Input)
  • 出力(Output)
  • 認識(Findable)
  • 好感(Desirable)
破線で囲まれた矢印は、心理などのユーザの内面的なものを表している。実践で囲まれた矢印は、動作や感覚などのユーザと外界とのやり取りを表している。

ここで、注意してみると興味深いことが判るはずだ。
入力(Input)=行動(Action)
出力(Output)= 接触(Accessible)
のように捉えてみると、以下のように書き換えることができる。
  • 接触(Accessible)
  • 認識(Findable)
  • 好感(Desirable)
  • 行動(Action)
  • 接触(Accessible)
  • 認識(Findable)
  • 好感(Desirable)
そして、「接触」「認識」「好感」「行動」がワンセットになっていて、C図では、次の「行動」にあたる「入力」が記述されていないことがわかる。出力された結果に対する「反応」を無視すれば、B図の左側だけを繰り返すことになる。

第三層
第二層とは対照的に、この「経験(Experience)層」には、B図の右側にあった文字が並んでいる。
  • 操作性(Usable)
  • 利便性(Useful)
  • 信頼性(Credible)
一般的に、「操作性」を入力するまでのことと思っている人もいるかもしれないが、それは間違っている。インタラクションのように、操作に対する直接的な反応を切り離して考えてはいけない。

「操作性」不満を抱く人は、ここで離脱する。
「利便性」不満を抱く人は、ここで離脱する。
「信頼性」不満を抱く人は、ここで離脱する。

「経験層」が、この3つの段階に分かれていることに是非注目しておいて欲しい。

第四層
「記憶(Memory)層」は、良いか、悪いか、を決定する。それによって、次に進むか、「離脱」するかが決まる。

ここでいう、「記憶」とは、ひとつひとつの言葉の意味の理解が、ひとりひとりで異なることと同じように考えている。つまり、ある個人の記憶に照らして良い記憶であるからと言って、別の個人の記憶に照らしても良い記憶であるとは限らない。

それでも、どのような個人を想定するかは別にして、良い記憶として残る場合には、継続して情報を得ようとする「次への行動」に繋がる。逆に、悪い記憶として残る場合には、「離脱」に繋がる。

現在、僕は、この第四層以下の問題に取り組んでいる。この問題を噛み砕こうとすると、「言語の次元」という話を真剣に考える必要がある。興味のある人は、コメントを残すようにしてもらえれば、できるだけ、その点を説明する機会を用意したいと思う。

また、ソーシャル・メディアについての話は、既に書いてきているので、タグをベースにして呼んでみて欲しい。特に、ソーシャル・キャリアーに関する記述は、この第四層に関わってくる問題をたくさんはらんでいるので、自分なりの言葉で、よく噛み砕いて欲しいと思う。

さて、ここに述べたことを簡略して図にすると、こうなる。

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