僕は、ヘッド・フォンを使わずにラジオ番組や音楽をiPhoneで聴くのが好きだ。音質が落ちるのにという声もあるかもしれないが、トランジスタ・ラジオのような少し割れた音に、何とも言えぬ哀愁があるからだ。
ラジオを聞いていると、随分と昔に引き戻され、何処かワクワクしている自分がいる。
ほんの最近、深夜のTwitter上での出来事。
だんだん夜が深まってくると、あるラジオ番組用のハッシュ・タグが付けられた呟きが、画面上にちらほらと現れ始める。
同じラジオ番組を聴きたいと思っている人達が、ラジオ番組が始まる時間に前後して、今日のテーマを確認したり、用事を済ませようとしている、などの、慌ただしい呟きが増えてくる。勿論、番組が始まれば、それはそれで、番組に同時進行するように、呟きが行われていく。
僕の使っているパソコン用のディスプレイは、20インチなので、Twitter用のアプリケーションを画面いっぱいにして使うと、いろいろな呟きが、いろいろな切り口からされていることを目の当たりにできる。
ラジオ番組が始まる。
最近のリスナー参加型ラジオ番組では、Twitterと連動することを意識しているようだ。さっきから、番組パーソナリティーが、Twitterで呟かれている内容に反応して話をしている。電話で待たされている別のリスナーがいると思うと、新旧の双方向があることは興味深い。どちらかだけではない、さまざまな可能性があることは間違いないだろう。
番組の途中で、パーソナリティーが奇妙なことを言い始めた。
「〜で、ラジオでお聴きの方は、インターネットではストリーミング放送をしていますので、そちらをお聞きください。」この案内を聞いて、ラジオの置かれた状況が変化している、ことに気づく。意外なほど、あっさり。
「(最初から)インターネットで聴くと、ラジオのような不便は無くなりますよ。」それは、言えない事情がある。
ラジオだからこそ、手軽に聴ける。というアドバンテージ。
電波という公的資源を使えば、時間制約は免れない。というディス・アドバンテージ。
とは言え、ラジオ番組のストリーミング放送自体は、パソコンとそれに内蔵されたマイク、スピーカー、専用のアプリケーションがあれば、誰にだって始めることができるのも事実だ。
Twitter上で知り合った方が、ストリーミング放送をしているので、制作環境について質問してみると、Skypeと呼ばれるインターネット上の電話ソフトを使って対談し、その電話内容を録音したモノそのままを番組コンテンツとして利用しているそうだ。
それは、面白い。
電話を録音した番組は、二時間近い長電話になっていたが、時間的制約が無いことで、可能性が広がるのは、もっと面白い。
Skypeに限らず、どんどんインターネットと組み合わせるのが面白い。
こうしたラジオ番組では、音声をデジタルに変換して送信しているだけなので、それを画像に切り替えることはたいして問題ではない。勿論、設備だとか、放送に使用する接続環境の問題などがあるのは承知しているが、ユーザからの需要があれば、それをベースに広告や新しいビジネスモデルを作れば良い。
実際、Ustreamのように動画ストリーミング放送は、既に存在している。
アプリケーション環境さえ揃えば、特定のURLを番組進行に併せて案内することや、ラジオ番組のホームページ上で、番組開始に併せて、適当な図表などを案内することができれば、更に大きな可能性が広がる。
もっとも、気になることが無い訳ではない。
ストリーミング放送であれ、図版であれ、コンピュータを使った通信はすべて、特定のアドレスとアドレスを接続することで確立されている。インターネットでは、IPアドレスと呼ばれるものがそれにあたる。だから、自分が誰なのかを明かしたくないと思っても、アドレスが相手に伝わってしまうことがある。
実は、これが厄介。
居住先や滞在先の住所が個人情報として扱われるように、アドレスも個人情報として考えるべきと思う。
これも、解決方法が無い訳ではない。実際、「存在証明」でも触れた、「番号に関する原口五原則(国民ID)」には、以下のような記述がある。
原則2 自らの情報を不正に利用・ストックされず、確認・修正が可能な、自己情報をコントロール出来る仕組みであることコントロールする仕組み自体について噛み砕くことは敢えて割愛するが、「存在証明」を明らかにすることで、開示したくない情報を開示させない権利が生まれることは知っておくべきだろう。
この権利は、件のラジオ番組を想定して話をすれば、以下のようになる。
ラジオ番組のストリーミング放送にアクセスしている現状、僕が契約しているプロバイダーは、僕が使用する為のアドレスを振り分けている。プロバイダーは、ラジオ局のアドレスと僕のアドレスを繋ぐ仲介として考える。ラジオ局は、リスナーのアドレスをプロバイダーと契約している誰かの者とまでは特定できるが、それ以上のことは、リスナーである僕自身が許可を与えなければ、プロバイダーでさえ、ラジオ局に公開できないという権利。
僕の「存在証明」を行う機関が、プロバイダーで無く、別の組織であれば、プロバイダーは、契約に必要な最低限の情報だけを、その組織から、僕の許可に基づいて取得することが可能になる。
僕のサインひとつで、どんなサービスへの支払いでも可能になるクレジット・カードの利用形態に近いと考えるとイメージしやすいだろう。
例えば、僕の「存在証明」を行う機関が、クレジット・カード会社であり、プロバイダーがホテルで、ラジオ局がホテル最上階にあるレストラン、といった状況に置き換えてみる。
レストランで食事をする時、直接支払いすることはできる。然し、ルーム・キーを見せてホテル滞在者であるという「存在証明」を行えば、レストランへの支払いはホテル代の清算と一緒にすることができる。ホテル代の清算を行うのに、クレジット・カードによる「存在証明」を行えば、クレジット・カードの支払いをさまざまな支払いとまとめて行うことになる。
お金を支払う許可を与えるように、個人情報を開示することができるようになることが、国民IDの重要な点だろう。
さてと、気分転換に音楽でも聴こう。
今日は、RCサクセションのトランジスタ・ラジオがいい。
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