2010年4月4日日曜日

携帯電話による存在証明

ソーシャル・メディアと携帯電話の関係」のグラフでは、ソーシャル・ネットワーク・サービス(以下、SNS)のひとつ、Facebookの利用者とスマート・フォン(アプリケーション動作が可能な携帯電話)の利用者の関係における興味深い傾向を見ることができる。

2009年から2010年にかけて、
  • Facebookユーザは、1187万人から2513万人に増えた。
  • 携帯電話利用者全体の22.5%から30.8%にスマート・フォン利用者が増えた。
  • パソコン利用者より、スマート・フォン利用者の方が、SNSを利用している。
    (パソコン利用者79%が、SNS利用者である。スマート・フォン利用者の91%が、SNS利用者である。)
と読み取れる。

ほとんどの携帯電話(プリペイド・カード方式による携帯電話を除く)の利用者は、電話会社との契約を行っている。その際、身分証明などの提示を求められるので、将来的に、ユーザの「存在証明」に携帯電話を利用できる可能性を指摘しておきたい。

アップル社は、既に、そうした可能性に着目していると思われる動き(「iPhone/MacBook向け生体認証システムに関する特許の出願」)を見せている。

また、アップル社が提供するホスティング・サービス(MobileMe)では、iChatAVと呼ばれるアプリケーションがある。このアプリケーションを使えば、同じアプリケーションが動作する環境を共有することで、チャットやビデオ・カンファレンスが行える。この時、このサービスでは、暗号化された通信状態を作ることができる。また、MobileMeのサービス自体が、存在証明と同様の役割を果たすことから、ユーザ同士のチャットやビデオ・カンファレンスへの不正アクセスを阻止できる効果がある。

間もなく日本で発売される次世代iPhoneには、こうしたチャットやビデオ・カンファレンスの機能が搭載される予定だと噂が流れている。

僕は、アップル社の設計思想を高く評価しているので、いつか、このようなサービスが、「OpenID」のような、より開かれた「存在証明」と融合する日が来ることを心待ちにしている。

米国OpenID Foundation副理事長の崎村夏彦氏は、自らのブログ「原口5原則とOpenID」の中で、「原則4 費用が最小で、確実かつ効率的な仕組みであること」にコメントしている。

一部を抜粋する。
こうしたAPIサービスにはいろいろなものがあるが、そのうちの一つとして特筆したいものに、「身元確認API」がある。これは、民間のIDプロバイダーが、身元確認に利用できる、第三者による「レジストリ」として機能する。同様のものは、デンマークやニュージーランドでも提供されている。これは民間で提供するのがかなり困難なものなので、ぜひとも提供していただきたいと思う。住基ネットをうまく使う形になるのかなと思っている。
まず、日本政府が「身元確認API」のような利用を視野に入れて、その具体案を提示することがとても重要だと思う。その上で、アップル社をはじめ、より多くの企業が、そうした動きに準じるようになれば、ここで指摘していることの実現性はとても高くなる。

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