2010年4月20日火曜日

ヒューマン・センタード・デザイン(1)

ここでは、これまで取り上げてきた3つのモデル
の説明を読んで頂いていることを前提に、以下の図を見直してみよう。


対話的なシステムの設計では、しっかりとした「ユーザ・ワーク・モデル」を設計することで、「システム・ワーク・モデル」の完成度が高まる。「ユーザ・ワーク・モデル」は、とても重要な役割を果たしている。


パーセプション・モデル」で説明したように、ユーザの「良い・悪い」の直感的な判断に基づいて、次の行動が決定される。
ユーザが抱く「良い・悪い」の判断は、ユーザの記憶に残り易い。特に注意すべきは、良い記憶よりも、悪い記憶の方が、長くユーザの記憶に残ることだ。逆に、良い記憶は、次の行動に直接的に結びつくので残りにくい。

その連鎖的な行動を図にしてみると、次のようになる。


例えば、ホームページを閲覧するユーザが、いくつものページを移動することを考えてみて欲しい。ひとつひとつのページを遷移する際、「良い記憶」が残ることは大切なことだが、「悪い記憶」が発生する度に「離脱(Break away)」が起こる。これは、サービスにとって、最悪の事態だ。

言うまでもなく、「サービス全体として良質な記憶」は、とても競争力のあるサービスになる。例えば、優れたユーザ・インタフェース・デザインが施された製品を使うと、特別な体験をしたと感じるようになり、やがて、その製品を手放したくない特別な思いになる。
もっとも、このような特別な思いにさせる背景には、「他のサービス(製品)では、こうはウマくはいかなかった」といった「悪い記憶」との比較により「良い記憶」が協調される可能性を指摘しておく。

だからこそ、「サービス全体として良質な記憶」が目指すべき最高峰にあることを忘れてはいけない。


ユーザは、一連のサービスに対して「期待(Expectation)」を抱いて行動を開始し、連鎖的な行動を繰り返す。その結果、ユーザは「期待」に対する結果に「満足」を得ることで、一連の行動が「成功(Success)」したと考える。

「良い記憶」が積み重なって「サービス全体として良質な記憶」が作られるのだから、まず、「悪い記憶」の発生を減らし「離脱」を無くすように取り組まなくてはならない。

続く。

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